ピッコロの先生を探し続けて、ようやく「ここだ」と思えた

講師紹介
今回は、吹奏楽団でピッコロを担当することになり、レッスンを探し続けてyukita(ユキータ)に辿り着いてくださったEさん(50代・横浜在住)の成長記録をお届けします。
Eさんにご了承いただいたうえで、一部詳細をぼかしてお届けします。
1. 「ピッコロを見てもらえる先生が、なかなか見つからない」

Eさんは元々、長年にわたり吹奏楽団でフルートを演奏されていました。フルートを習っていた頃、先生から「ピッコロも持っておくといいよ」と勧められ、ピッコロを購入したそうです。
フルートと運指は同じ。試しに吹いてみたら、音も出た。「これならいけるかもしれない」—— そう思ったそうです。
でも、練習を始めてみると、そう簡単ではありませんでした。出る音はうるさくて汚い。チューナーをつけてみれば、音程は安定せず乱高下、合奏に入ればさらに顕著になる。
「合奏中に指摘されたし、自分でもそう感じていた」とEさんも仰っていました。
これは、フルート経験者がピッコロを始めるときによくあることです。「運指が同じだから、きっとすぐ吹けるはず」—— その感覚は間違いではないのですが、フルートとピッコロは別の楽器です。音が出ることと、コントロールできることは、全く別の話なのです。
さらに、練習を重ねるほど、息が苦しくなることも気になり始めました。ブレスが増え、フレーズが続かない。吸ったはずの息があっという間になくなり、吹いている最中も苦しい。
「本番も近いのに、どうしたらいいのかわからなかった」—— そう話してくださいました。
フルートのレッスンに通っていた先生に相談しましたが、「ピッコロは指導できない」と言われてしまい、その後いくつかの事情が重なり、フルートのレッスン自体からも離れる時期がありました。それでも、吹奏楽団での活動は続けていました。
そしてある時、「ピッコロを持っているなら」という理由で、楽団のピッコロパートを任されることになりました。それからEさんは、ピッコロを見てくれる先生を探し始められたそうで、「ピッコロ指導可能」と書かれた教室をいくつか当たられたとのことでした。
でも、なかなか「ここだ」と思える指導に出会えなかった。「どこに行っても、何か違うと感じて。自分の悩みがどこにあるのか、説明してもらえる先生がいなかった」—— そう話してくださったことを、よく覚えています。実はこれ、Eさんだけの話ではありません。
日本では、音楽大学のカリキュラムにピッコロ専門の授業が設けられていることはあまりありません。海外では専門課程が存在する国もありますが、日本ではピッコロ奏者としての専門教育を受ける機会が少ないのが現状です。そのような環境では、指導者側もピッコロ指導の経験を積む機会が限られてしまう—— 私はそう感じています。
それが、この「習いたいのに先生が見つからない」という状況につながっているのではないかと思うのです。こんな経緯からEさんが辿り着いてくださったのが、yukita(ユキータ)フルート&ピッコロ音楽教室でした。
2. 体験レッスンで起きたこと——「なぜそうなるか」が初めてわかった

なぜそうなるのか。その答えから、レッスンは始まります。
無料体験レッスンでは、まずEさんが抱えていた悩みを順番に確認しました。
- 音がうるさくなる(ある程度の大きさでないと音が出ない)
- 音程が安定しない(特に高音部)
- ブレスが増えて息が続かない・苦しくなる
これらは実は、根っこがつながっています。
フルートとピッコロは運指こそ同じですが、楽器の構造も調律の特性も異なる別の楽器です。
フルートで身についた息の使い方や身体の感覚を、そのままピッコロに持ち込むと、うまくいかないことがあるからです。体験レッスン後、私は「なぜそうなるのか」という原因と、「どう変えていくか」という道筋を、Eさん専用に組み立てて、今後のカリキュラムの大枠をお伝えしました。
「原因と対策をここまで具体的に説明してもらったのは初めてだった」と、のちに仰っていました。「やっと、自分に何が起きているのかわかった気がした」とも。Eさんは、その日のうちに、入会を決めてくださいました。
3. レッスンで取り組んだこと——ピッコロの「音程感」を身体で覚える

レッスンでまず大切にしたのは、身体の使い方と呼吸の土台を整えることです。当教室ではアレクサンダーテクニークの考え方も取り入れており、姿勢や身体の使い方、力みのパターンを見直すところから始めました。同時に、「力を入れる」のではなく「必要な力だけを使う」—— その感覚を身体で覚えていただくことを大切に。
一ヶ月強が経ち、土台が整ってきたところで、息の方向と量の調整へと進んでいきました。
ピッコロはフルートより管が短く、息や身体のコントロールに繊細さが求められます。「頑張って吹く」ほど、かえって苦しくなる。加えて、ピッコロには独自の音程感とスケール感があります。
フルートの感覚のまま吹くと音程が上手く並ばないこともあり、これはピッコロの構造だけでなく、楽器の個体差なども大きく関わっています。実際、Eさんの楽器と私の楽器の癖なども違っていました。Eさんと、Eさんの楽器が、「どこがそうなりやすいか」「なぜそうなるのか」一つひとつ確認しながら進めていきました。
また、ピッコロはフルートとの持ち替えが発生することも多い楽器です。「フルートの状態がピッコロにも影響する」という観点から、Eさんにはフルートも持参いただき、レッスン内で両方を確認しながら進めていきました。フルート経験者であるからこその「強み」と「癖」を、両方丁寧に扱い、レッスンを進めさせていただきました。
4. 数ヶ月後——「あ、出た」の積み重ね

「自分でもわかる。」「あ、出た!」——その積み重ねが、上達です。
レッスンを重ねること、4ヶ月程でしょうか。Eさんからの「あっ、出ますね」「今のよかった!」という言葉が増えていきました。
高音のE(ミ)やF(ファ)などが、狙った音程でコンスタントに鳴るようになってきた。音のうるささが取れ、芯があって、でも柔らかい音が出始めた。
息の苦しさは、呼吸そのものに関わるため完全な解消には時間がかかります。それでも「以前より楽になった」「長いフレーズが続くようになった」「音が出しやすく、吹きやすくなってきた」とおっしゃるようになっていきました。
あるレッスンの後、こんな言葉をいただきました。「毎回少しずつ変わってる感じがする。自分でもわかる。」上達を誰かに言われるのではなく、自分で感じ取れるようになってきていました。音楽にはそれも大事な、本当の変化のひとつだと私は思っています。
また、フルートとピッコロの持ち替えについてレッスン内でお伝えした際、「そういう練習が必要だったとは知らなかった」と、少し驚いた様子でおっしゃっていました。
5. 「ピッコロって、ちゃんと習える楽器なんだ」

ピッコロのこと、一緒に解決しましょう。
ある日のレッスン後、Eさんが「ピッコロって、ちゃんと習える楽器なんだって、やっとわかりました。」と仰りました。その言葉が、私にはとても印象的でした。
ピッコロは「フルートの延長で何とかなる」と思われがちな楽器ではないでしょうか。でも実際には、独自の奏法と音程感を持つ、きちんと指導を受けるべき楽器だと、個人的には感じます。
先生が見つかりにくいから、独学や我流になりやすい。我流になるから、悩みが深くなる。そういう状況に入り込んでしまっている方が、少なくないように感じています。
Eさんは今も、楽団での演奏を楽しみながらレッスンを続けてくださっており、yukita(ユキータ)フルート&ピッコロ音楽教室は、川崎を拠点に横浜全域からも通っていただいています。対面の他オンラインも対応していますので、お住まいの地域を問わずご相談ください。
最後に
「自分にもできるかな」と思ったその気持ちが、最初の一歩です。当教室では入会前に、無料体験レッスンを実施しています(お一人様1回限り)。フルートとピッコロ、どちらの無料体験レッスンもお気軽にご相談ください。
楽器をお持ちでなくても、経験がなくても、ブランクがあっても大丈夫です。レッスン時のみではありますが、無料貸出楽器(フルート)もございます。
補足情報
著者情報
ピッコロを「ちゃんと習いたい」と思った時、頼れる先生を探すことがこんなにも難しいのか—— Eさんのような経緯をお持ちの方から、そういったご相談をいただくことが少なくありません。
私自身、スイスでの留学中に師匠から「私はフルート吹きであってピッコリストではないから、音楽的なことしか言えない」と言われた経験があります。
世界レベルのフルーティストでも、ピッコロの楽器特性や奏法の具体策まで指導できるとは限らない。それがピッコロという楽器の現実なのだと、ひしひしと感じた瞬間でした。
だからこそ、ピッコロで悩んでいる方に「ここに来てよかった」と思っていただけることが、私にとって特別な意味を持っています。ピッコロのこと、まずは一度お話を聞かせていただけたら嬉しいです。
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