海外で会社を営む父が5年半続けたフルートと子への約束

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海外で会社を営む父が5年半続けたフルートと子への約束

講師紹介

由佳先生

今回は、海外在住で会社を経営されながら、オンラインでフルートを続けられているHさんの成長記録をお届けします。

多忙な日々の中、当教室に長らくお越しいただけておりますこと、当教室一同大変嬉しく感じております。

Hさんのご了承をいただいたうえで、一部詳細をぼかしてお伝えしています。

1. お子さんのフルートが、父の背中を押した日

お子さんがフルートを習い始めたある日、Hさんはふと「いつか一緒に演奏できたら…」と思われたそうです。

「昔サックスをやっていたから、管楽器の感覚はある。楽譜の読み方も、少し忘れているとはいえきちんと読めた。手元に楽器と楽譜を揃えて、まずは自分でやってみた。」

でも、何かが思うようにいかない。

海外在住というご事情もおありだったのでは、と今となっては感じます。当然ですが、Hさんのご在住地にもフルート講師はいます。寧ろ、世界的に見ても最先端の音楽教育や環境で対面レッスンを受けていただけるのではないでしょうか。

「でもオンラインレッスンなら、母国語で、日本人の先生に習える。」

そのHさんの思いが、ユキータと、私たちの出会いを繋げてくださいました。

2. サックス経験者が、フルートで最初につまずいた理由

管楽器の経験があることは、フルートでは必ずしも有利に働くとは限らない、と個人的には感じます。サックスはリードが振動することで音が生まれます。これに対してフルートは、息の角度唇の形で音を作る、空気振動で音が生まれる楽器です。

その根本的な違いが、最初の大きな壁でした。

体験レッスンの頃には音が出ない・かすれるという状態でしたが、レッスン開始時には音は出るようになっていました。しかし、私にはこの時既に、別の課題が見えていました。

シングルリードの奏法の癖が、唇の使い方に残っていたのです。唇を固めて、で音を作ろうとする傾向と、上唇を少し巻き込み、楽器内部に息を吹き込もうとする傾向です。フルートには咥えるものがないため、これは必要なく、これを放置すると、どれだけ練習しても音の質は変わりません。

加えて、腕・首と肩の力みがありました。サックスは演奏時に、ストラップを楽器に装着することで楽器の重さを首でも支えることができます。その身体の記憶が、フルートの構えにも残っていました。しかしフルートにはこれがなく、また、サックスよりも軽い楽器であるため「支えようとする行為」も殆ど必要としないのです。

これは才能や努力の問題ではありません。前の楽器が身体に覚えさせた感覚が、そのまま残っているだけのこと。フルートをお選びくださったHさんの、最適解が変わっただけのことなのです。これを、丁寧に一つずつほぐしていく作業が始まりました。

3. オンラインだからこそ、身体を徹底的に見た

オンラインの画面越しに何ができるか、どうすればお互いにとって一番わかり易いか、Hさんと二人で開拓しながら進めました。対面とは違い、五感で感じていただけることに限りがあるため、どう見ていただき、どう話し、どう見せていただくか、これらが対面レッスンとは少し変わってくるのです。

全身を映してもらう。構えた手を画面いっぱいに映してもらう。構えた状態で横を向くなど、お互いにたくさんの工夫を施しました。

こうすることで、細かな力みや唇のわずかな変化・演奏時の感覚や視覚を用いた確認など、オンラインでも進めることができました。

Hさんへのレッスンでは、オンラインであることも手伝って、特にボディワークに多くの時間を割きました。アンブッシュア呼吸法立奏法腹式呼吸… 五感で感じていただく代わりに、私の感覚を丸ごとHさんにお渡し、Hさんご自身に感じていただくためです。教本を1ページも進めずに、ひたすら二人で身体と向き合うレッスンが何度もありました。

それが成立したのは、ひとえにHさんに【身体の感覚を探る力】があったおかげです。これは初回レッスン時から既に私にはわかっており、また、レッスン前後の雑談でHさんもお話くださったこともありました。Hさんお薦めの、身体を作る器具を私が購入したことも。

「こうしたらどうなるか」を自分で確かめ、内側で何が起きているかを言葉にできる。不明点や不透明な部分があればその場で聞き、イメージと感覚を掴もうとする。Hさんのこの力が、踏み込んだアプローチを可能にしました。

タンギングにも課題がありました。タンギング時に舌に力が入る傾向あり、フルートのそれと噛み合ってはいませんでした。御本人もタンギングには苦労されており、体験レッスン時にも「タンギングがよくわからない」と仰っていました。

舌の課題をピンポイントで解決することも勿論できます。しかし、呼吸と連動する以上、これでは根本的解決にはならず、またすぐ壁にぶつかります。そこで、腹式呼吸とアンブッシュアをある程度整えてから、息と舌の連携を丁寧に調整しました。

初期だけでも、オンラインでこれだけのことを行うことができました

Hさんは私がお話したことや、レッスンでお伝えしたことを持ち帰り、その都度自分で探求しながら練習してくださいました。練習で出た疑問点は必ずレッスン冒頭でお聞きし、ここで解決するようにしています。この積み重ねが、確実に音を変えていきました。

後にHさんはこんなことを話してくださいました。「フルートを学ぶと同時に、身体のこともよく分かるようになり、日常生活にもいろいろ生かせています。また、イメージを持ちやすく教えてもらえるので、一度教わったことがしっかり頭に残りやすいです。」

フルートのレッスンで起きることは、音楽のことだけではないと改めて感じた言葉でした。

4. 「綺麗な音で吹きたい」——その一言が、5年半の軸になった

Hさんの希望は、最初から一貫していました。

綺麗な音で出したい。音にこだわりたい。音楽的に演奏したい。

その希望に応えるために、基礎が確固たるものになるまで、音楽的なアプローチは急ぎませんでした。勿論Hさんにもお話し、ご了承をいただいて。

綺麗な音は、身体の使い方が整って初めて生まれます。順序を間違えると、どれだけ感性があっても、それは音に出てこないからです。例え出たとしても、それは長期的には難しく、また、定着せず、学び直しを繰り返すことを避けたのです。

ある程度基礎が固まってから、曲は好きなものを自由に持ってきてもらいました。映画音楽、ポップス、ミュージカル、ジャズ、ボサノヴァなどジャンルは問いませんでした。

「Hさんの場合、感性と引き出しの豊かさは、こちらが何かしたり、新しく作るより、ご本人の中にあるものを引き出し、ブラッシュアップするほうが適している。」そう判断したのも、早い段階でした。それだけ、Hさんの音楽性と感性の多彩さセンス・違うもののなかに素晴らしさを発見し、「素晴らしい」と言える能力は、群を抜いていたのです。

ご多忙になり、月4回から月2回にペースを落とした時期もありました。それでもレッスンは続いています。辞めるという選択は、現在に至るまでされていません。

今Hさんが奏でる音は、5年前とは別物です。これほどまでにオンラインレッスンで上達できるのか、音楽性も技術も驚くほど成長されています。

5. 5年半後の今と、お子様との約束

2020年からレッスンを続けていただき、5年半を超えられ、もうすぐ6年になります。習い事を同教室で約6年続けることは、実はとても珍しいことです。そもそもこれだけ継続できるのは、Hさんの才能であり、努力の賜物です。

忙しくなっても、環境が変わっても、辞めなかった。その事実が、何よりも雄弁にHさんの歩みを物語っています。そして素晴らしいことに、5年半経った今でも「ここはもっとこう演奏したい」「この跳躍とスラーはできたが難しかった」「もっとフルートの綺麗な音を生かした演奏を」など、向上心新鮮さを保たれています。

始まりはいつも、小さな「できたら嬉しい」という気持ちからです。Hさんの5年半が、それを証明しています。

始める理由は、どんなに小さくてもいい。続ける理由も、個人的でいい。でも続けた先に何かを見つけ、新たな自分と感性を以て未来に向かう。あなたにも、そういう時間があるといいな、と感じます。

最後に

海外在住でも、多忙でも、管楽器経験者でも、「続けられるかどうか」は、環境や経験の問題だけではないと、Hさんが教えてくれました。

「音にこだわりたい」「美しい音で演奏したい」「音楽的に演奏したい」という思いを持つ方へ。その思いは、正しい方向で積み重ねれば、必ず音に出てきます。

yukita(ユキータ)フルート&ピッコロ音楽教室では、入会前に無料体験レッスンを実施しています(お一人様1回限り)。
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自分のペースで、自分の音と感性を育てていく… そんなレッスンを、一緒に作っていきましょう。

補足情報

著者情報

「〇〇をやっていたから大丈夫」「管楽器経験があるから早い」など、このように考えてフルートを始める方は少なくありません。

しかし楽器が変われば、身体の使い方も、音の作り方も変わります。フルートは他の楽器とは発音の仕組みが異なりますが、発音の仕組みは群を抜いて簡単なのです。

当教室では、経験の有無に関わらず、その方の身体と感性から丁寧に積み上げていきます。オンラインでも、対面と変わらない指導ができる教室であると、Hさんが証明してくれました。

体験レッスンであなたにお会いできますことを、当教室一同楽しみにしております。

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岩崎 由佳 / Yuka Iwasaki

川崎・横浜を拠点に音楽の世界を広げるフルート講師。情熱と技術を融合し、個々の才能を最大限に引き出します。あなたの演奏が輝く瞬間を、今から一緒に創造しましょう。

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