1年前は初心者だった方に経験者が本気で詰め寄った理由

音楽は、生活やジャンルの枠を超える

講師紹介

由佳先生

今回は、会社経営をされているOさんの成長記録をお届けします。

長らくレッスンにお越しいただき、当教室一同大変嬉しく思います。

現在も継続してレッスンに通ってくださっているOさんにご了承をいただいたうえで、個人情報に考慮し、一部をぼかしてお届けします

1. 「数ヶ月だけ」のはずが、気づけば4年

Oさんが最初にレッスンに来てくださった時、正直なところ「レッスンに通われるのは数ヶ月くらいで、とお考えなのかな。」という所感があったのを覚えています。実際に、当初は本当にそうだったと後にお聞きしました。

幼少期に少しだけ合唱とフルートをやっていて、長らく辞められていた。体験レッスンにお持ちいただいたのは、その頃に使われていた楽器で、「やりたいけど手をつけられていなかったから、やろうと思って。」と仰ってくださっていました。

ただ、実際に吹いていただいた時、私は少し迷いました。このままでは、Oさんの目指す目標には届きにくい。楽器のスペックや状態、そしてOさんの肺活量や今後学ばれたいことなどを考えても、買い替える方が望ましい。

迷った挙句そうお伝えしたところ、その日のうちに「今週、楽器屋に行って色々と検討してみますね。」とご連絡をいただきました。そして約1ヶ月後、楽器店で試奏したその場で購入を決められ、その日のうちに持ち帰り、そのままレッスンへ。

「これかな!」ときらきらした笑顔で嬉しそうにされていたお顔を、今でもとてもよく覚えています。2時間ほどかけて一緒に選んだ楽器を、とても大事そうに扱われて、丁寧にケースに仕舞ってくださっていました。今もお変わりなく、毎年メンテナンスに持ち込まれながら、大事に使ってくださっています。

「数ヶ月だけ」のはずだったOさんが、もうすぐ4年。お休みすることなく、レッスンをご継続くださっています。

2. 入会〜半年― 基礎・癖と向き合う、地味だけど大切な時間

新しい楽器を手にしたOさんと最初に取り組んだのは、フルートに必要な基礎の部分に加えて、幼少期の名残として残っていたでした。

子どもの頃の体格や肺活量に合っていたアンブシュアが、そのまま大人になった今も残っている状態だったのです。これは、Oさんに限ったことではなく、低年齢期から楽器を始められた方にはよくあることです。フルートの場合、楽器の長さがあるため、頭部管を肩に乗せる楽器を内側に向けて演奏するなど体格差をカバーする動作が癖となり、残ることがあるのです。

Oさんにもこれが見られたため、今のOさんの骨格や体格に合わせて、良いところは残し、少しずつ不必要な力みや癖を取り、基礎を一緒に学びました。

アンブシュアだけでなく、構え方や持ち方・指や体の使い方も含めて、一つひとつ確認しながら進めていきました。やはり一番ネックとなられていたのはアンブッシュア(唇部分)かとお見受けしましたが、「なるほど…」「難しい…」そう言いながらも、Oさんは毎回、丁寧に向き合ってくれました。

派手な進歩が見えにくい、基礎の期間。大枠の部分だけでもおよそ半年強、続きました。退屈な部分もお有りだったかと思いますが、「音楽的に、豊かに、綺麗な音で」というご自身の目標に向けて、Oさんは忙しい仕事の合間を縫って、変わらずレッスンにお越しくださり、こつこつと積み上げてくださいました。

3. 半年―「もう無理かと… 」

ある日のレッスン前、Oさんが少し困った顔であることをお話くださいました。「参加予定の演奏会のパート譜が来たんですけど、難しくて、もう無理かと… 今回は残念ですが断ろうかと思っています。」これまでのレッスンで、基礎や音楽的な部分と同時に、楽譜を読むことに関しても、しっかりとレッスン内で取り組んでいた私としては「Oさんが読めないほど難しい楽譜が、来た?」とびっくり。

楽譜を拝見すると、確かに音符が詰まっていて、初めて見ると難しそうに見えるだろうな、という見た目をしていました。

でも、実際に一緒に読んでみると、Oさんが「無理」だと感じていた部分は、ほんの数か所でした。苦手なリズムやテンポの部分が集中しているだけで、落ち着いて読んでみると… 「あっ、これ、少し前に教本で出てきてましたね。」といったものも。そこをいくつか取り出して、ゆっくり分解して、ひとつずつ読み進めました。

気づけば、その1レッスンの中で、最初は「もう無理」と言っていた箇所が全て吹けるようになっていたのです。あとは、気をつける部分に気を配って反復練習するだけ、というところまで来ることができたのです。

わからないリズムも、聞くと耳と感覚で吹けてしまうタイプの方であるため、感覚に頼り、びっくりしてしまったのが根本にあったのでは、と考えます。

耳と感覚がとても良いということは、Oさんの大きな武器です。しかしそれだけに頼っていると、初めて見る楽譜は不安で吹けない・自分で譜面を読めなくなってしまいます。よって、基礎の深堀り読譜力同時進行で身につけることを、私はレッスンの中でずっと意識してきました。

今では、初めて見る難しそうな楽譜にも、以前のような不安を抱かれることは殆どないようで、「まずは落ち着いて読んでみる」がしっかりと身についているように感じます。

Oさんが、フルートレッスンで身につけられたものは、フルートの中だけにとどまりませんでした。

Oさんは長年テニスを続けている方でもありますが、レッスンでお伝えした呼吸や脱力の感覚を試されたところ、テニスにも良い変化があったそうです。「テニスとフルートは『ここが似ているな』と感じる部分があって。こんなところにも効くんですね。」と共通点や、どのように実践されたのか、お話くださることも。お話くださった時の表情が、今も印象に残っています。

4. 1年― バッハで折れかけた心

基礎が少しずつ身につき、細かい部分の深堀りなどに入ったこの頃、Oさんは幼少期のバックグラウンドからお好きだったバロック時代や教会音楽の曲を、よく持ってきてくださるようになっていました。ある時持ってきてくださったのは、バッハの有名な曲。正直に言うと、私はこの時、厳しいレッスンを敢えて行っていました。

理由は下記です。

Oさんは、人前で演奏する機会が他の生徒さんより多い方。「これくらいでいいだろう」で完成として、人前で吹いてしまうと、Oさん自身が恥をかくようなことになる可能性もある。それだけは避けたかったのです。

特に、この時に持ってきてくださったものは、フルート奏者が一生取り組む、フルートは避けて通れない、必ず皆が取り組む曲でした。これを取り組む以上、『知らなかった・教わってなかった』では、済まないのです。Oさんは中級にいらっしゃることもあり、勿論御本人にはご説明した上で、音だけでなく、曲の構造和声の流れを一緒に読み解きながら(アナリーゼ)、それをどう表現につなげるかにも取り組みました。

「ここはこういう動きをしているから、こう聞かせたい」など、頭で理解したことを、実際の音にしていく作業は、Oさんにとって難しかったはずです。お嫌になっているのでは、楽しくなくなっているのでは、と毎度心配が尽きませんでした。

「奥が深いですね」そう仰っていたことをよく覚えています。それでもOさんは、楽しみを失いそうになりながらも、レッスンを続けてくれました。今振り返れば、ここで基礎音楽的な土台を【本当に】固めたられたからこそ、この先の発表会に繋がったのだと切に感じます。同時に、1年足らずでバッハに取り組まれるまでに実力をつけられた、Oさんの上達には本当に脱帽します。

5. レッスン開始から約1年〜2年― 演奏会で、Oさんが「ちょっと人気者」になった日

レッスンお越しいただくようになって約1年、1年と数カ月程の頃でしょうか。この頃、Oさんは初めての演奏会にご出演されました。当日はリハーサルもあり、ピアノの学生さんと共演されたそうです。

本番では緊張からテンポが上がってしまう場面もあったそうですが、「今吹ける範囲でのいい音が出せた」とのこと。他の出演者の多くは吹奏楽経験者で、演奏後、Oさんの周りには人が集まられていたそうです。

「一年でここまで吹けるの? 誰に教わってるの?」長年フルートを続けられている方々から、次々に声をかけられたそうです。中には、ご自身が悩んでいる部分を話しながら、Oさんに「どうやったらそうなれるのか」と聞かれた方もいらしたとお聞きしました。

このことを、発表会後のレッスンで、Oさんが教えてくださいました。「ちょっと人気者になった気分でした。」と話してくださるOさんは、嬉しそうで、また、少し誇らしそうにも、私の目には映りました。

私自身、このような経験は初めてで、本当に驚きましたし。そして何より、Oさんが嬉しそうに、楽しかった、とお話くださっていることが心からうれしかったです。

始めてからまだ1年の方が、長年続けている方々にそう言われる。びっくりするほどのの良さと、飲み込みの早さ。そして御本人の音楽表現の幅の広さ深さ、こつこつ継続して積み上げられる精神性努力

Oさんが反復や練習を、正しく、そして継続的に積み上げてきた証拠が、この、Oさんを取り囲んだ方々のお言葉です。

現在は、教本を並行しながら、また、デュエット曲も取り入れながら、より音楽的な表現の幅を広げるレッスンに取り組んでいます。デュエットは、相手の技量やニュアンスをそのまま五感で感られますが、そもそもこれを感じ取れる必要があります。

Oさんは感性が豊かで、音や音楽を心で感じることができる方なので、これまでに身につけられたことを応用しながら、どんどん表現の幅が広がっています。

最後に

「楽器をやってみたいけれど、今の自分には難しいかもしれない」「続けられる自信がない」そう感じられている方へ。

Oさんも、最初は「数ヶ月くらい」のつもりでフルートレッスンを始められました。そこから、ご自身に合った楽器と向き合い方を見つけ、1年で経験者の方々を驚かせるところまで進み、もうすぐ4年—— 一度も休まずご継続されています。

楽器の上達だけでなく、その先にある人生の楽しみも広がっていく。そんな時間を、一緒に作っていけたらと思っています。

yukita(ユキータ)フルート&ピッコロ音楽教室では入会前に、無料体験レッスンを実施しています(お一人様1回限り)。まずはお気軽にご相談ください。

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補足情報

著者情報

大人になってから楽器を始める方の中には、「今さら遅いのでは」と感じられる方も少なくありません。楽器などは幼少期からずっと続けるもの、というイメージもあるのかもしれません。

しかし、年齢や体格、これまでの経験に合わせて基礎から組み立て直すことで、1年でも大きな変化は起こります。60代に入られてから、定年後の趣味として始められる方もたくさんいらっしゃいます。

仕事やご自身の趣味と両立しながら、音楽の楽しみを広げていく。そんな時間を、ぜひ一度体験していただけたら嬉しいです。

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岩崎 由佳 / Yuka Iwasaki

川崎・横浜を拠点に音楽の世界を広げるフルート講師。情熱と技術を融合し、個々の才能を最大限に引き出します。あなたの演奏が輝く瞬間を、今から一緒に創造しましょう。

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