その言葉が、ずっと頭に残っていた

講師紹介
今回は、オンラインでレッスンを受けてくださっているLさんの成長記録をお届けします。
「画面越しで本当に上達するのか」という疑問を持ちながら、体験レッスンにお越しくださった方でした。
個人が特定されないよう、一部詳細を伏せてお伝えします。
1. 「仕事より自分の時間を大切にしたい」——部下の言葉が刺さった理由

ある日、Lさんの部下の方がこんなことを仰ったそうです。「仕事も大事ですけど、自分の時間も大切にしたくて。」
最初は正直、よくわからなかった。自分が20代・30代の頃は、仕事に全力を注ぐことが当たり前だったから。でも、その言葉がなぜか頭から離れなかった。
そう後のレッスンで教えてくださいました。このときふと気づくと、Lさん自身は「仕事以外に、これというものがない」と感じられていたそうです。「趣味と呼べるものがいつの間にかなくなっていた。昭和的に働いてきた自分には、そういう発想がそもそもなかった。」とも仰っていました。
部下の方の言葉をきっかけに、Lさんは「自分も何か始めてみようか。どうせなら、これまで全く触れてこなかったものがいいな。」と思い始めたそうです。
2. 「画面越しで本当に上達するのか?」——懐疑心を持ったまま体験レッスンへ

フルートを始めようと思われたとき、最初に、対面の教室は現実的ではないと感じられたそうです。仕事終わりに移動して、決まった時間に通い続けることが難しかったから、とのこと。そこで調べるうちに、当教室でのオンラインレッスンという選択肢にたどり着いてくださいました。
ただ、正直なところ「画面越しで楽器が上達するのか?」という疑問はお有りだったそうです。Lさんの中で、音楽は対面で習うものという感覚がどこかにあったのでしょう。「とりあえず体験だけ」という軽い気持ちで、「まずは、由佳先生に相談したい」にチェックを入れて、無料体験レッスンをお申し込みくださいました。
体験レッスンで、私が画面越しに音の問題点を指摘したことに、Lさんは大変驚かれていました。「こんなに的確に、しかもこんな細かいことまでわかるんですね! 長年講師や演奏家でやってこられてるから分かるのか… いや、凄いです。」と、体験レッスン後にお話しくださいました。
こういったことをお話くださった体験レッスン直後に、Lさんは入会を決めてくださいました。
3. 数ヶ月後——仕事終わり、パソコンを開いてそのままレッスンへ

画面越しでも、この空気はちゃんと届きます。
Lさんは、仕事終わりの時間帯にいつもレッスンを入れてくださいます。自室でパソコンを開き、そのままレッスンが始まる。移動も、着替えも、準備にかかる時間もないのがとても良いと感じてくださっているようです。
「これが一番、自分の生活に合っていると思います。本当にいい先生に会えて、いい決断をしました。」と、ある日のレッスン後のLさん。
「在宅勤務日もあるし、出社していても、帰宅してジャケットを脱ぐだけですよ。あとは、パソコンの起動中に楽器を組み立てて、メールボックスを開けば、先生がオンラインリンクを送ってくれているので、僕はそれを押すだけ!」と、笑顔でお話くださいました。
音が気になる時間帯は吹けないという制約はお有りのようですが、大した問題ではない、とも。レッスン後に少し練習して画面を閉じる、というリズムが自然に定着しているようです。
最初の数ヶ月は、音を出すことや、楽器の構え方などの基礎・楽譜を読むことを並行して進めました。
フルートは息・唇・指を同時に意識する必要がある楽器です。そして、演奏中に自分の視界に自分が動かしている指が入らない楽器。一本一本の指とその動きを、感覚だけで把握しなければならないのです。
Lさんの場合はここに少し課題がお有りだったため、特に丁寧に見させていただいていました。「えー… 右手の、薬指!」「Lさん、それは中指ですね。」「あ、中指… ん?」といった具合で、最初は指を見て確認していただいていました。
そして特筆すべきは、Lさんは几帳面な方で、その日のレッスン内容をメモに残してくださっていたこと。御本人は「練習する時にポイントを見返すんです。」と仰っていましたが、一度拝見した際、とても丁寧にまとめてくださっており、嬉しい反面恐縮してしまったくらいでした。
4. 半年後——「なぜ音が変わったか」が、自分でわかるようになった

半年が経つ頃、Lさんに変化が出始めました。「上手くいったときに、上手くいった感覚が少しわかってきました。先生は、できたときも、できなかったときも、理由を話してくれるじゃないですか。でも実はこれまで、感覚ではあまり掴めてなくて。」この言葉は、私にとって大きな変化のサインでした。
頭で理解し、上手くいったことを感覚的に再現できるようになる、つまり【再現性が出てきた】ということです。生徒さんも、勿論私達もそうですが、練習をする大きな理由の一つがこの【再現性を持たせ、百発百中でできるようになる】ことです。そして、「練習してもできるときと、できないときがある」つまり、再現性を持たせられないことに悩む方も非常に多くいらっしゃるのです。
Lさんの「できた時の感覚が分かってきた」というのは、身体が覚え始め、再現性が出てきて、再現できる確率が上がってきているということです。お仕事またはフルートレッスンを通して、課題を分析し、原因を特定するアプローチが、そのままフルートにも活きていたのかもしれません。恐らく前述したメモも。
同時期にLさんは、自分で練習の優先順位をつけられるようになられていきました。「今週はここが気になったので、重点的にやってみました。」という言葉が、レッスン中に出るようになりました。自走できる生徒さんは、上達するスピードが確実に変わります。
今思えば、この頃からLさんの上達スピードは上がってきたように感じます。
5. 1年後——フルートが「自分の時間」になっていた

レッスンにお越しいただくようになって1年が経つ頃、Lさんがこんなことを話してくださいました。「仕事で疲れた日に吹くと、頭が切り替わるんです。」「吹いている間は、仕事や他のことを考えられないのがいいんです。吹き終わった頃には忘れるか、『まあ明日どうにかなるだろう!』とポジティブに考えられるようになっていますから。」終わった後は頭がすっきりして、気持ちが軽くなる感覚があるとも仰っていました。
部下の方の「自分の時間を大切にしたい」という言葉が理解できなかったLさんが、気づいたら自分の時間を持っていた。そしてその時間が、仕事にも具体的な形で返ってきていました。
「プレゼン前の緊張が、以前より落ち着いてきた気がする」と、ある日ぽろっと零しておられました。場数を踏んだベテランでも感じる、あの独特のプレッシャー、そして商談する部下を見守る緊張が、少し和らいでいると。フルートを通して、集中のスイッチを入れる感覚が身についたのかもしれません。
「画面越しで上達するのか?」という懐疑心から始まったオンラインレッスンは、今やLさんの生活に完全に溶け込んでいます。場所を選ばない、移動する必要がない、自分のペースで続けられる。
現代の多忙なビジネスパーソンにとって、これは大きな強みだと感じています。
最後に
「楽器は教室に通わないと上達しない」とお思いの方へ。
当教室のオンラインレッスンでは、音や身体、指などの細かい部分まで、しっかりと確認しながら進めることができます。そして、移動時間や場所の制約がない分、忙しい方ほど続けやすい形だとも感じます。
通い続けることへのハードルが下がると、それだけ長く続けられる。続けることが、上達への一番の近道であり、「継続は力なり」です。
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補足情報
著者情報
「オンラインで本当に上達できるの?」というご質問は、時々いただきますが、殆どの方が体験レッスン後、その疑問を解消してくださいます。
習い事、特に実技的なものは対面で習うもの、という感覚は、自然なことと感じます。昨今急速に普及したオンラインが、より波及するには一定の時間が必要。五感に訴えるものにも制限があるのですから、当然のことでしょう。
ただ、スタジオ代や移動時間が不要になる分、メリットはとても大きい。特に、自分で考えて動ける方・継続力のある方には、その恩恵がより大きくなると感じています。普段練習している環境でそのままレッスンを受けられることも、オンラインならではの強みです。
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